学生と違ってビジネスパーソンは勉強する時間を捻出するのが難しいと思います。そこで効率よく勉強をするためには、いかに集中して短時間で勉強を進めることができるかどうかが重要になってきます。
今日は、集中して勉強に取り組むための方法を紹介します。
勉強に集中するには、神経の活性化
集中して勉強に取り組まなければならないのは、誰もが分かっていることですが、集中力を自由自在に上げることは難しいですよね。
まず集中力を高めるコツを脳の仕組みから紹介していきます。
脳科学の見地からいうと、集中するためにはA10神経系を活性化させる必要があります。
A10神経系というと聞きなれないかもしれませんが、「ドーパミン神経系」とも言われています。
ドーパミンはTVでも使われる単語ですが
- 快感や多幸感
- 意欲を作る
- 運動機能の調節
などに関連するホルモンのことです。
つまり、私たちの気持ちが「ワクワク」や「ドキドキ」しているときに、頭の中でA10神経系が強く活動しています。
そして特徴的なのは、A10神経系は「依存」に大きく関係しています。
「依存」には、大きく分けて3つの種類があります。
例えば、
- お酒などアルコール依存
- タバコのニコチン依存
- 甘いものがやめられない砂糖依存症
などの「物質依存」
- パチンコ・スロットなどのギャンブル依存症
- オンラインゲームなどのゲーム依存症
- スマホなどの携帯依存症
などの「プロセス依存」
- 自己判断を放棄する宗教依存
- 精神疾患である性依存
- 特的の関係性がつよい共依存
などの「関係依存」
上記のように「依存」するものは、異なっていても「入れ込む」行為全てにA10神経系の活動が先立っています。
そこでこのA10神経系の作用をうまく利用して
勉強に入れ込む状態
を作り出すことができれば、集中力を高めることができると言えます。
集中力を高める「報酬」と「癒し」の快楽
A10神経系の活動を高めるためには、二つの快楽が必要とされています。
一つは「報酬」もう一つが安心感などの「癒し」です。
集中力を高める「報酬」とは
勉強における「報酬」とは
- 給料アップ
- 豪華なディナー
- 褒められたときの自己達成感
などのことです。
また、それだけではなく報酬を得られそうだという状況だけでもA10神経系は活動します。
例えば、
「これができたなら、ご褒美が手に入る。」
などと自分でルールを設定しておけば、神経が活発になり集中力が向上するのです。
簡単に給料を上げることはできなくとも、自分なりに目標達成に対する報酬を用意したり、「上司から褒められるだろう」などのイメージを行うことで集中力を上げることができるということです。
「報酬」のデメリット
A10神経系を活性化させることは集中力を上げるために効果的であることは間違いありません。
しかしながら、A10神経系は「渇望感」を生み出してしまう事もあります。
渇望感とは、「もっと出征したい」というようなものですが、度が過ぎると「何が何でも勉強しなくてはッ!」といった追い込まれた状態を作り出してしまいます。
ですから、集中力を高めるための報酬は、「生きる楽しさ」を感じることができるものに設定することが大切です。
あまりに出世欲を前面に出して自分を追い込むことよりも、「この勉強で活躍の場が広がる。」いった具合に「楽しみ」を報酬として設定しましょう。
集中力を高める「癒し」とは
「癒し」を生み出す方法は、場所への依存がポイントになります。
ある場所で勉強を始めると「落ち着く」「集中しやすい」といった場所や状況を用意できれば仮に「報酬」がなかったとしても、「癒し」により集中力を持続することができます。
もちろんこの、「癒しの場所」は人によって異なります。図書館・自分の部屋・リビング・カフェなどいろいろです。
下記のリンクでも紹介していますが、よく静かな場所で勉強しなければならないと考えている人がいますが、少し雑音が入るくらいの方が集中できる場合もあります。
反対にこの「癒しの状態」を作ることができないと「ひっきりなしに誰かに褒められ続ける」など、かなり都合の良い状態が続かなければ、高い集中力を保ちながら勉強を続けることは難しいでしょう。
以上のことから、「報酬」と「癒し」の両方の条件を満たしている状況こそが高い集中力を保つ秘訣ということです。
集中した勉強の始め方
集中して勉強をするためには、勉強している間だけでなく、勉強の始め方も重要になります。
どうすればいいのかというと勉強を始める前のルーティーンを決めておくことです。
これはスポーツの世界でも取り入れられています。
有名なのは、ラグビーの五郎丸選手がゴールキックを蹴る前の動きなどです。
集中力を高めるための「儀式」を作り、パターン化させましょう。
勉強の始め方をパターン化することで「始め方」に慣れが生じ、前頭葉が落ち着くことで、勉強を始めることが「癒し」となります。
そして勉強を始めると「作業性興奮」が生じて気分が乗ってくるので楽に集中力を維持できるようになります。
ここまでくれば、勉強を習慣化できたといっても過言ではないでしょう。
下記リンクにも書いてありますが、
「勉強前に机の上を片付ける」
「コーヒーを一杯飲む」
などなんでも良いので、オリジナルのルーティーンを導入してみましょう。
効率よく集中できる「15分勉強法」
時間を区切る勉強法はたくさんありますが、その中で「15分勉強法」をお勧めします。
脳が「集中」している状態というのは、「勉強するぞ!」という意欲的な集中と情報を自然と脳へと取り入れることができる受動的な集中のバランスが取れている状態をさします。
しかし、このバランスのとれた集中は、10〜15分程度しか持続しないと言われています。
そこで、15分単位で勉強のスケジュールを立てる勉強法がお勧めします。
もちろん「15分勉強法」といっても15分勉強して休憩を挟むわけではありません。15分ごとに勉強の内容を変えていく方法です。
たとえば、机に向かっていきなり集中力全開で取り組むことは難しいので、「最初の15分は前日の復習」をします。
次の項目で説明しますが、復習として文章を目で追うだけで集中力が高まっていきますし、毎日のルーティーンにすることで、勉強の導入の「儀式」としての効果もあります。
ある程度集中力が上がったところで、「次の15分には、新しく学ぶ内容の解説を読み込み」、「次の15分で解説を踏まえて問題を解く」、そして「最後の15分で明日の予定を計画」しましょう。
もちろん15分の組み立てはオリジナルのものを計画していけばいいです。ですが、必ずその日に学んだ内容を再確認して自己達成感を得られるようにすることが大事です。
自己達成感は、脳が「報酬」として認識し明日も高い集中力を維持するための活力となります。
いかに集中力を高めた状態で勉強を続けることができるかを考えて勉強スケジュールを立てましょう。
勉強中に集中力が落ちたら蛍光ペンを使う
「報酬」と「癒し」の二つの条件を利用して脳を活性化することが集中力のキーポイントになるわけですが、それでも時には、勉強中にTVやスマホが気になってしまうということはあります。
私も、勉強し始めた時には、気にもならなかったスマホに、時間が経つとダメだと分かっていてもスマホに手が伸びてしまいます。
では、そういった「気もそぞろ」な状態から、どうすれば集中力が高まっていた状態に戻すことができるのでしょうか?
答えは、驚くほど簡単です。
教科書の文章を目で追うだけです。
脳科学の観点から、「集中するということは、目線を一定の方向に固定している」状態です。
簡単にいうと「見つめる」=「集中する」
ということになります。
つまり、教科書を読むためには目線を文字に合わせて注意を払う必要があります。結果的に前頭葉の一部である前頭眼野が活性化します。
この前頭葉は、人間が行動する際に指令を出す重要な部分です。活性化させることができれば勉強に集中することができます。
もちろん「気もそぞろ」な状態では、教科書の文章を目で追っても頭には入ってこないかもしれません。たとえ指で指し示しながらでもいいので、とにかく目で追います。
それでも集中できない時には、文章を目で追いながら、重要だと思う場所に蛍光ペンで線を引きましょう。
なぜなら文章を目で追わなければマーカーを引くことはできないので「強制的に」文章を目で追うことになるからです。
こういったことを考えると、よく教科書に大量の蛍光ペンで色分けしている人がいますが、本当に重要部分にラインが引けているかどうかは別にして、少なくとも集中力を高めるのには役立っていると言えます。
ですから集中力が落ちてきたと感じた時には、重要部分に蛍光ペンでラインを引いてみましょう。
この行為そのものが「集中力を上げるための儀式」になるわけです。